マカオ カジノライセンス更新についての解説 -その1



相変わらず日本の評論家や専門家を名乗る方々は、まともに外国の記事を読めないのか、読めても勿体ぶっているのか、実際に現場で起きた事とは異なった内容を伝えている。


まずこの記事はReutersの記事を翻訳して、ご自身の意見をちょこっと付け加えたのであると考えられるが、写真は香港。
はい、チーン!

原文であるReutersの記事では
〝Macau keeps casino licences limited to six, halves duration〟
となっている。


これはまず情報発信の元であるReutersが
〝keeps casino licences limited to six〟
と言う、言い方をしているので、ここが誤解を招く。しかしマカオ政府はこの様には言っておらず下記の様に発言しております。


在澳門博彩業動盪不安之際,澳門政府經過去年的公開諮詢後,今天(14日)正式宣布完成博彩法修訂草案,建議發放最多六個賭牌,明文禁止轉批給,賭牌年期不多於10年,另可延長最多3年;並制定娛樂場、博彩機及博彩桌的審批規範,以規範幸運博彩的經營規模,以及賭場須設於博企擁有的不動產內等。法案將於通過後公佈翌日起生效,出席記者會的澳門行政法務司司長張永春表示,若法案未能於今年6月內完成,現有賭牌將適當延期,當局稍後會再正式宣佈。
今マカオに於けるカジノ業がこの様な不安定な状況である中、マカオ政府は昨年来の公聴会などを経て、今日(1月14日)、正式に修正法案の草案を正式に発表いたしました。その内容としては最大6個の運営ライセンス、枝のライセンスを禁止にする、ライセンス期間を最大10年とする、その延期は最大3年。カジノ・マシン・テーブルの審査のレギュレーションも制定し、ゲーミングの経営規模を管理する事。カジノは必ずその運営者の所有する不動産の中にゲーミングの場を所有させる事。この法案は決定した後、アナウンスした翌日から即施行されます。この記者会見に出席したマカオの行政法務長官は張永春によると『この新しい法案が6月までに成立を見ない場合、現ライセンスは適切に延期する。これからまた正式なアナウンスはします。』

これを読んだだけで、普通は『全然違う話しやん!』とならない? 今回はReutersにも責任はある。

そうなると、前記のJAPAN GAMBLERSの記事はここが違っている。

マカオのカジノライセンス:今まで通り6つ、期間は短縮←❌

『期間は短縮』は合っている。建設などのプロセスは無い為、今回改めて入札をして合格したIR企業には10年(+3年)のライセンス有効期間となる、とした。今までは20年(現在のライセンスは2003年より)だったから、その期間は半分になった。
余談になるが、大阪の35年ってなんやねん?って話しです。

ただしこの〝今まで通り6つ〟ってなんですのん?と言う話しになる。今まで通りでは無く、

とりあえず今の枝を含む三つ(六つ)に関しては、更新が間に合わないので一旦延長しますが、改めて〝法案を成立〟させ、入札はこれから行います!←⭕️


最初からこれである。マカオ政府側の言い分は変節もしていないし、全くブレていない。

今年の6月にカジノライセンスが更新されるのだが、コロナ等の状況でその更新日までに法的な整備が間に合わない。
そこで今回は
〝カジノライセンスを暫定で一旦、延長〟
と言う処置とした。

このReutersの記事を孫引きにしてデマは拡散されたが、問題はこの様に〝専門家〟様がそのまま歪んだコメントを述べられる事だ。  
既存業者に有利も何も、確かに六つのカジノは良いとして、この法案(草案)はSJMを除く、マカオの地元の既存業者は震え上がってる。

爆弾はここ。

以及賭場須設於博企擁有的不動產內等


これは明確にサテライトカジノの禁止を謳っている。

これに該当する業者はパッと名を上げるだけでも、金龍・レジェンド(バビロン)・ランドマーク・プレジデント・金碧・財神・RIO・エンペラー(ジャッキー・チェン、困っちゃう!)・ホリデーイン・グランドビュー・カーサレアルにタイパスクエア等。
微妙なのがポンテ16と一部のmocha。
これらの従業員数を合わせても凄い数の人数。これ、どうするんだろ?カジノライセンスホルダーに売却しちゃうしか道がないのではないか?

これを考えると、この法案が雇用問題なども絡み、すんなり通るとは思えないんだよね?この部分が相当にして相当の調整が必要になる為、法案がすんなり通る事は無いだろうと予測した上で〝一旦延長、その後、正式に入札〟としたとするならば、マカオ政府は空気を読めている。

他にもジャンケットの新法などが織り込まれているが、とりあえず今回はここまで。
Reutersの曖昧な発表でカジノ銘柄が上がったというが、吉村イソジン・アンジェスみたいなインサイダーだとしたらよろしく無いね。

次のPART 2で書くが行政長官も妙に厳しい口調であれこれ言っている。曰く「国安法もあるんでね!」と。
それが本気で言っているのか、マカオ得意の日本の京都府に倣っての言うだけタダで北京を納得させているリップサービスなのか?はこの上の問題の推移を見ていかないと分からない。もう少し観ていく事が必要です。

タイトルにはそれまでの流れを重んじて〝カジノライセンス更新〟と書いたが、今回の件、先に結論を総じて言うならば、これは〝更新〟では無く〝新規入札〟であると結論付けられる。

ーつづくー