日本に於ける一帯一路の目的とは? 前編

 またもや最近、一帯一路や大阪の港湾パートナーシップが再燃しております。日本に於いて初期段階でご案内した責任として、いまだ日本の方の中では「一帯一路の危険性」について、ボヤっとした概念しか持っておられない方が多い様なので、可能性も含め何が危険なのか?と言う事を明確に示しておきます。


1.武漢ー大阪港湾パートナーシップは〝一帯一路〟か?


 これは明確に〝一帯一路〟の枠組みのプログラムである、と明言します。
「案内状に書いてあっただけだ」
「たまたま一帯一路の別のプログラムの発表と同席、同じ会場でやっただけだ」
等と、言い訳をしていますが、それは言い逃れです。

 この写真、MOU締結時のものですが、この一番上の所にご注目ください。



中国語で
「中国湖北 - 日本関西〜」のところに〝帯路〟と書いてあります。

これは一帯一路の略称です。

嘘は止めましょう!

 中国語表記の文字を日本の漢字に直すと

「中国湖北 - 日本関西江海連運帯路合作項目」
と書いてあるのに、その下の日本語表記では
「中国湖北 - 日本関西地域のSea & River一貫輸送相互運行協力プロジェクト」
と表記されております。

 これを分解して見てみましょう。

中国語:
①.中国湖北 - ②.日本関西 ③.江海 ④.連運 ⑤.帯路 ⑥.合作 ⑦.項目

日本語:
A.中国湖北 - B.日本関西地域C.Sea & River D.一貫輸送 E.相互運行 F.協力 G.プロジェクト

と単語毎に分け、それぞれの単語に対応する中国語・日本語で区分してみます。

① - A/中国湖北 - 中国湖北
② - B/日本関西 - 日本関西地域の
③ - C/江海 - Sea & River
④ - D・E/連運 - 一貫輸送/相互運行
⑤ - ナシ/帯路 - ナシ
⑥ - F/合作 - 協力
⑦ - G/項目 - プロジェクト

 この⑤ - ナシの部分に注目してください。つまり中国ではハッキリと「中国湖北 - 日本関西江海連運帯路合作項目/中国湖北 - 日本関西の川と海の一貫輸送相互運行の一帯一路協力プロジェクト(直訳)」と書いてありますが、日本語では追求された時の保険なのかは知りませんが【一帯一路】の表記を避けている。
そう言う事です。
ステルス大好きです。
元がゲリラから発生していますから。

2.大阪港湾局がサインしたものの中国の認識は関西の港湾全体?

 私は本件について二つの大きな問題を内包していると考えております。一つ目は前記に掛かる部分ですが、日本国として参加を否定した一帯一路に対し、国内外に誤認を誘発する要因を作ってしまっている事。
 現在、日本は「一定の要件を満たしていれば参加しても構わない」としておりますが、その〝一定の要件〟は中国としては全く受け入れられない要件(条件)の為、結果として「参加できない」構成となっております。ここは安倍首相時代のチームが一帯一路の構造を詳細に分析した結果の賜物だと言い切ります。

 しかしながら大阪港湾局と言うこの罪深い連中は、中国とサインを交わした事で「日本は一帯一路のプロジェクトにサインした」と情報発信(プロパガンダ)するに充分な土台を中国側に与えた事になりますし、中国側もそこは狙いの一つでしょう。
 これは時に先進国主要七カ国 - G7の足並みを乱すこともあるでしょうし、日本の友好国でかつ嫌中の国に対し、日本への疑念を抱かせる原因にもなります。日本国の国益を失うきっかけになる事は間違いの無い事実です。

 そしてもう一つ、これは私の深読みだとは思いますが、中国側からしたらこのMOUの締結は「大阪の港と契約」したのでは無いのだと思います。彼らは〝大阪港〟ではなくもっと広域の〝関西の港全体〟と契約したと言う認識です。またそう取れる表題の付け方です。
 事実、この契約(MOUではあったとしても、一旦契約としておきます)ではその後、中国に於いての発表には〝大阪〟と言うキーワードは出てきません。

 出てくるのは〝関西〟の港であり、〝関西の港が窓口になった日本〟です。

 つまりそれを地政学上で考えると、関西との河川・海運事業との表記は即ち〝兵庫・大阪・和歌山の港〟を意味し、それらが日本の〝窓口〟となり、武漢を中心に日本から欧州と一帯一路参加諸国を結ぶ、主な貿易の道となる、として事実、武漢市人民政府広報室からその様に発表されております。
下記はその発表の原文です。


横跨亚欧,武汉新港向“国际枢纽港”跨越

2020-12-31 武汉市人民政府新闻办公室

 30日,武汉市人民政府新闻办公室召开“浴火重生英雄城 感恩奋进新征程——党的十九届五中全会精神在武汉”系列新闻发布会第八场,主题聚焦“坚定不移打造双循环新格局重要枢纽”。发布会上,武汉新港工委委员、管委会副主任赵弢介绍了今年开通的“日本-武汉-欧洲”集装箱水铁联运国际中转通道项目的建设、运行情况。
 赵弢介绍,去年,在新港委的组织下,武汉至日本关西的集装箱直达班列开通,将原有经上海中转的运输模式,优化为从武汉直接到日本的点对点直达模式,运输时间由原来的单向8天减少至5天。今年12月12日,从日本经武汉到欧洲的集装箱水铁联运国际中转通道项目开通,将武汉-日本直航航线与现有的中欧班列直接对接,开展水铁联运国际中转,将日本出口到欧洲及中亚的货物经过水运先到武汉,再通过中欧班列,铁路运输至目的地,形成了以武汉为核心枢纽,横跨东亚、中亚及欧洲,直航中转与过境运输为一体的全新国际物流大通道。据悉,新通道将日本到欧洲的货物运输时间由原来的45天缩短至22天左右,节省了一半的时间,具有高效快捷,准点准时,经济环保等优势。
 “该项目将促进武汉深度融入国内国际双循环新发展格局,成为国际大循环的战略支点,也成为衔接国际产业链的重要一环。” 赵弢说,开辟连通日本经武汉至欧洲的高效便捷新通道,有利于进一步发挥武汉的核心枢纽作用,进一步加强武汉与日本、欧洲及“一带一路”沿线国家的经贸往来,推动形成中日共同合作开发第三方市场的新发展格局,推动武汉从九省通衢向九州通衢发展,同时实现了武汉新港从国际港向国际枢纽港的巨大跨越。

JETRO作成の図に今回の関西パートナーシップのラインを赤線で書き入れました。


 かつて通信の自由化がなされ、複数の通信事業者が電話網/インターネットの回線網の事業に参入したものの、従来のNTTの持つ電話網が【Last One Mile】と言われ部類の強みを発揮し、後発企業の行手を阻ました。
まさにこの大阪港湾局のサインしたMOUは、その一帯一路政策を強引にまでに押し進める習近平の野望 - それはG7諸国が安全保障上も含め大いに懸念する材料なのですが - を完成させるラストワンマイルを完遂させる最後のパズルのワンピースだったのです。
 これを決めた吉村大阪府知事と松井市長、田中港湾局長は、中国で表彰されるでしょうし、彼らにとっての主人(あるじ)である習近平国家主席から厚い祝福を受けるでしょう。

 そう考えるとなぜ神戸が「MOUを更新しない。期限切れでそのまま破棄する」と言ったのかは、非常に分かり易い話になります。神戸がわざわざ署名をしなくても、大阪港湾局が署名をしてくれています。
 こう言う事が許されるんですね。しかしそう考えると、日本と言う国は漫画家 故・赤塚不二夫氏の描く〝デカパンさん〟の伸びたパンツのゴム紐の様な国です。

 そう言えば行橋市の地方議員の星、日本国が始まって以来の低脳議員である小坪しんやのblog。俳優の石田純一氏を彷彿させる昭和の死語である〝トレンド〟と言うキーワードを使い、なんだか知らねどNo.1だそうですが、彼の問題提起の中のどこ一つとっても、ここに記載している内容は出て来ないですね。
 まず誰かが書かないと【新事実】が出て来ないんじゃ無いですか?それって…カンニングでしょう?

 さて長くなってしまったので、今回はここまでとします。次回はこの〝一帯一路〟が日本に於いてどう言う問題を引き起こすのか?
 日本は中国に対しての債務国ではありませんから、スリランカみたいな事にはなりません。そうであれば、中国側にどの様な目的があるのか?
そしてその目的は、日本に対しどの様な悪影響を与えるのか?を後半に書きます。

 もしかしたらトレンド議員が先に書くかもしれません。しかしそれは私がこれから書く事と1億パーセント交わらない内容なので、ご安心してください。