MGM China(マカオ)の新契約内容から大阪MGM(IR)を読み解く


先に確認をします。

 MGM ChinaはマカオにあるMGMの名称を冠するIRを管理する会社です。社名にChinaが付いている為、中国本土にMGMのカジノがあると頑なに思い込んでいる方が非常に多いです。
 中には私が「もうDMを送らないで」と言っているのに「良く読んでください!中国でもMGMはカジノ作ってマネロンをしているんですよ!」と懸命に私に説明してくる方もいます。時間の無駄です。
 MGM Chinaはマカオの会社です。そしてそれはマカオのIRを運営する会社です。中国本土にカジノはありません。

さていつもお世話になっているAll in さんから、こんなニュースが出ました。



美高梅中國未來三年向母企支付13億牌照費 續准使用MGM商標 ー MGM チャイナはMGMの商標権の使用許可を更新し、今後三年間で米国の親会社に対し13億HKD(約228億6623万円)のライセンス料を支払う予定です。

ちょっと待って…それってFCやん…。

今後10年間、新規のマカオのカジノライセンスを獲得したMGMチャイナは、1月1日から3年以内、MGMとしてのライセンス使用のため、米国の親会社MGMインターナショナルに最大1億7300万ドル(約13億4700万香港ドル/約約228億6623万円)を支払うと発表。 これはMGM・MGMグランド・MGMグランドマカオ・MGMライオンなどの関連商標・登録・ドメイン名の使用を含む料金である。2023年から2025年にかけて同グループは、MGMチャイナの共同会長であるパンシー・ホーが保有する信徳グループに対して、MGMの清掃とリネンの委託サービス費として年間1億8,000万香港ドル(約31億6戦万円)を上限として支払う予定である。

上記の金額はMGMの月間総収入の1.75%であり、それらは年度で計算して支払われ、2023年には5,560万ドル(約76億円)、2024年には5,760 万ドル(約79億円)、2025年には6,000 万ドル(約82億3千万円)をそれぞれの年度の上限金額とします。 

来年の総支出額では、MGMのブランディングにも1,500 万ドル(約20億円)の手数料が支払われ、2024年と2025年にも同額が支払われる予定です。MGMのブランディングはMGM Internationalの間接的な完全所有子会社であるMRIHと、MGM Chinaの共同会長であるパンシー・ホーによって完全に所有されております(これはMRIHとパンシーとの間で50%ずつシェアされております)。

さらに2023年から2025 年まで、年間1億8,000 万香港ドル(約31 億円)を上限としてホテルの洗濯や施設の清掃を含むMGMの特定のサービスに対しパンシー・ホーが所有する信徳グループに支払われます。信徳はMGM Chinaに金券を販売し、信徳からグループにレンタルルーム(ホテルの部屋)を卸売価格で提供し、MGM Chinaは信徳にレンタルルームを卸売価格で提供します。

またMGMチャイナは、2023年にマーケティング サービスに対して親会社に最大6,500 万香港ドル(約11億円)を支払う予定である。2024年には最大で7,500万香港ドル(約13億2千万円)、2025年には8,500万香港ドル(約15億円)に引き上げられるとの予定。この文書はまた、パンシー・ホーがMGMの親会社との競業避止義務の証書を更新したことを強調しています。

パンシー・ホーは現在、MGM Chinaの発行済み株式資本全体の約 22.49%を直接的および間接的に所有しており、同社の大株主であり、同社の共同会長兼執行取締役でもあります。


MGM Chinaから発表された記事としてはこの様な内容です。

 連結子会社から名称使用のゼニを取るとは初めて聞きました。現在、巨額な有利子負債を抱えているMGMはかなり懐事情が厳しいと推察されます。
 また過去にMGM Chinaとの間に同様な契約があったか否かで調べましたが、見当たりません。つまりカジノ新法がこの12月に発布され新規ライセンスになったのを契機に契約を見直したのでしょう。

しかしこれは重要な問題を示唆しております。


それを解説します。

 なぜ連結子会社に対し、まるでセブンイレブン本社とFCオーナー間の様な契約を結んだのか?これには以下のことが考えられます。

  • コロナで巨大施設を維持するのが相当なるダメージを負う事を今回のコロナ騒動で学び、認知した。
  • 中国人のインバウンドが期待できない。
  • カジノに対する売上げが期待できず、それであればFC的な契約にして客が来なくとも最低限の利益を子会社に作らせて回収する方向にシフトした。

 逆に言うとSJMでも重職にあるパンシー・ホーは、これらのリスクを背負ったと言える訳で、とりわけMGMの一定数の部屋を原価で購入する契約になっていると言う点に注目してみても、負ったリスク分、自社ビジネスへの積極的な転用・活用を考えている、と読めます。

 けれど、もう一回繰り返してもけれどけれど…
そこで商売が出来るにしても、そもそもインバウンドが以前の様に戻らないのは明白で、どうしてパンシーがこんなケツの穴の毛までむしり取られる様な契約を結んだのか?(ちなみにパンシーは女性ですが他意やスケベ心はありません。)

 一つ考えられるのは、あのマカオの巨大なMGMのファシリティー(施設/建物)です。あれの減価償却が出来ないのではないか?と考えました。つまりパンシーはこの様な条件でもやり切らないと、ファシリティーの建設をやった信徳グループに結果的に迷惑を掛けてしまう。そこで最大限責任回避と金銭リスクを負いたくない米国MGMと、実質パンシーの持ち物であるMGM Chinaとの間での見るからに不均衡な契約が締結されたのではないか?と思うのです。

 いずれにしても米国MGMは「もう以前の様な売上や利益は期待できない」と悟った、或いはその状況が続いたケースを想定し、頑丈な防御ネットを張ったと言えます。

 さてこのケースを大阪に当てはめて考えてみたら如何でしょうか?
もう答えは見えますよね?
第二、第三の咲洲の姿です。
巨大な南港ATCやWTCコスモタワーがまた出来るのです。

 張るアンテナの感度が低いのか?
分かっていてやっているのか知りませんが、本当に大きなそれこそ負の遺産ですよ?

 さっさと場所を変えるなり、一旦中止にするなり判断する本当の最後のチャンスだと言えます。