外交人事に見る中国の対外戦略の見直し



年の暮れも迫った昨年の12月30日、中国の外交部長に元在米国中国大使だった秦剛がそれまでの王毅に代わって任命された。


これによって王毅は一線からは退くと考えられていた。

しかし年が変わった2023年1月1日。
中国共産党(国では無い)は、突然、王毅を党の外交のトップに据えた。


少々驚いたが、国と党を分けての扱いに、なかなか上手いことをやるな、とも思った。そしてこの時に明確に浮かんだのが〝対日米シフト〟と言う言葉だった。


今の中国共産党において、王毅を上回る日本通はいないだろうし、元駐米大使では日本とのコネクションは難しいだろう。
そう言う意味では党の外交のトップに王毅、国の外交のトップに秦剛の布陣は、やっぱり日本に助けてもらわないとどうにもならない事を如実に示している。

しかし別の見方をするとこの布陣は今更感も強く、これまでの経緯を見ていても、これだけ複雑に絡み合った国際的な問題に対し、妥協点を探し出せるのかな?と訝っていた。

そこへビックリする情報が流れてきた。

ここまで中国共産党の戦狼外交の象徴的な存在だった趙 立堅が左遷されたと言う。

一時はコロナでの死亡説が流れたり、趙 立堅の妻がDV被害を発信したり、更には「コロナに感染し薬が買えない!」と微博に投稿するなど、かなり身辺が慌ただしかったが、ここにきての中国共産党外交部から
【外交部辺界与海洋事務司(国境海洋事務局)副司長】
に任命されたいう正式な発表がされた。

https://www.fmprc.gov.cn/web/wjb_673085/zzjg_673183/bjhysws_674671/


この明らかな降格人事を知った時、中国の今後の戦略が鮮明に見える事となった。

戦狼外交を失敗と判断した、と見做して良いと言える。
中国は明確に戦力を変えてきたと判断しても良いだろう。

国の外交トップに元米国大使を置き、党の外交トップに元駐日大使を置く。
それまでの中国の顔としてあちこちの国に噛み付いていたチンピラを引っ込める。
現在の中国の状況を見れば戦狼外交は失敗だった言って良い状況で、これからはとにかく親密にコミュケーションをしていこうと言う思いは見てとれる。


コロナ対策で世界に先駆けて対策を発表した日本。
しかし親中派の二階が、自らがトップに君臨する旅行協会の名を使い、せっかくの防護壁に穴を開けた。

これに対し、ゼロコロナを撤回し
「中国は元に戻った」
をアピールしたい中国政府は激怒。
激しい怒りを露わにして声明を出した。

曰く
「政治問題にするな!」
と。

そして報復措置として、今度は完全に開けたはずのドアを、日本と韓国に対してのみふたたび閉じた。


ここで個人的な意見を述べるが、中国はいつもこう言う幼稚な対応を取る。
これがいつまで経っても信用されない原因となっている事を知るべきである。

そしてここで日本の誇るポンコツ外相、林芳正が大ポカをやった。


この人物の能力の無さを最大限に発揮した瞬間だった。

〝保健・衛生上〟の問題からドアを閉じた日本に対し、中国は〝政治問題〟へとすり替えて声を張り上げた。それに対し林外相は日本国を代表し、真正面から遺憾空砲を発射した。

どうして相手の挑発に乗るのか?と、暗澹たる気持ちになった。

相手はメンツがパンツはいて闊歩しているような生き物だ。だとしたら同じ目線に立ったら、そのしつこさと意味の通じ無い主張で根負けするが分かるだろ?と言いたい。

こう言う時は一歩上の立場に立って

「健康や衛生面を考慮した結果の規制ですが、どうも中国側は政治問題と捉えたようです。意図や目的を正確に考慮して頂き、質問など頂ければこちらも答えましたし、これからも何度でも説明する用意はあります。
しかしながらこの様な勘違いされた状態の発言をされてしまい、大変に残念です。」

と、かわせば良かったのだ。

彼らはメンツと同時に〝恥ずかしい〟と言う事に耐えられない人種だ。
そりゃそうだろう。
13億人(自称)の頂点に位置する人たちである。
その様なスーパーエリートが「間違える筈がない」と言う前提で存在しているのだ。

勝手に間違えて、勝手に転かせば良いのだ。
恥ずかしいと思う様な恥をかくと、彼らはどうするか?
黙ってしまい、無かった事にする。
以後、触れなくなる。

外交するのであれば、主要国の人種の傾向など、掴んでおくのが当然だ。

いずれにしても、中国の経済はもはや瀕死状態。1分でも1秒でも早く、周辺国とのリレーションを回復させたいのが本音だ。

常にカードはこちらにある、と言う意識を持っていかないと、裏を掻かれるし、今回の水際対策の様に無用な諍いを撒き散らす。

中国の動きを見る時、その人事をよく見極め、大臣の御機嫌どりマニュアルの様なモノではなく、状況分析をキチンとした上で共有し、一貫した態度で対処していくのが正しいと思いますよ?
そしてその人事から、実は中国は日本を最優先的に考えている、と言うメッセージに早く気が付くべきだとも思います。

悪い意味で相手のメンツを潰さない様に。。。
あとがめんど〜ですよ?