「有る・有る・有るのアル!」 その2

「太陽の塔」内部が48年ぶりに公開されるので見に行ってきましたフォトレポート



 前回書いた様に、イベントやスポンサーシップと言うのは〝「有る・有る・有るのアル!」その1〟の様にまず
  1. 「タネ銭」を持った金主を決めて
  2. メディアを始めとする露出する媒体を押さえ
  3. 金主の希望し尚且つ専門的見地から出展する内容を決めて
  4. そこから二次的、三次的〜レイヤーを重ねて
展開していくと言う流れになります。

これが万博となると、
  1. 日本国としてどうするのか?
  2. 開催地である大阪としてどうしていくのか?
と言うのが通常の流れです。

これらの調整役の事務方として大会事務局がある。

 各省庁や自治体、電通や協賛会社の上位企業からの出向者で固められている。しかし実際は電通あたりから来た人間が纏めていて、ここに関しては「慣れた手つき」でとっとと進める。

 ある程度まとまったところで省庁や自治体が口を出してきて、グチャグチャになる。これがある意味、今までは万博の風物詩として関係するところの記憶や流れとして認知されてきた事だ。

 ところが今回ばかりは流石に様相が異なる。

 これについて厳しく指摘していたメディアがある。


 数回に分けられて詳細に問題点を指摘しているが、今回のこの問題の原点はどこにあるのか? つまりそれは「オセロの四隅を誰(どこ)が押さえているのか?」に通ずる。

大阪パビリオン推進委員会

 まずは、この存在と成り立ちだ。大阪パビリオン推進委員会の存在を確認していくと、

2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会が大阪パビリオン基本設計の概要等を公表しました

順に辿っていく。

2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会


 【2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会】について、その設立趣旨について、斯様に記されている。

国際博覧会条約に基づく大阪・関西における2025年日本国際博覧会において、地元大阪が出展するパビリオン及び関連事業の企画を行い、パビリオン出展が、世界に向けた大阪のアピール並びに大阪の成長及び発展に寄与することを目的に、「2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会」を設立しました。

 ここで明確に「地元大阪が出展するパビリオン及び関連事業の企画を行い、パビリオン出展が、世界に向けた大阪のアピール並びに大阪の成長及び発展に寄与することを目的」

と、書かれている。

 つまり万博は日本国が開催する国際展示会であり、その一部である開催地である〝大阪〟は「大阪の〜」と言う括りを明確に設けていて、この部分に於いてはなるほど、大阪は全体の中でのワンパートに過ぎないな、と言う事は明確になる。

 また役員はこの様に定められていて、大阪の知事・市長に最高権威が与えられている。


 ところがココで次に掲げる二点について、どう言う経緯で開催主管である日本国が決定したのか?が大いに気になるところである。

  1. 開催地である夢洲
  2. 万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」

 これがどう言う経緯で誰から提案されて、そして決まったのか?が大きなポイントとなる。

 もう一度確認するが、まずこの土台となる〝日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会〟は2021年2月16日に設立が発表された。

https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/40279/00000000/setsuritsushuisho.pdf


 この時の設立会合として配布された資料の中に、万博のテーマに合致しているとして総合プロデューサーとしてアンジェスの森下竜一を総合プロデューサーとして選任している。但し選任しているものの、その経緯などは事由が記されているだけ明らかにされていない。

https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/40279/00000000/kaigo%20shiryo.pdf


 「万博は国の事業だ!」は分かるが、同時に開催地はその国と双璧を築く存在である。その開催地の自治体が用意周到に総合プロデューサーに仕立てた人間はしかし、しっかりとテーマに沿った動きを果たした。そして自らが顧問先となっている企業を大阪のパビリオンのスーパープレミアムパートナーに仕立てた。

https://i-feel-science.com/cms/wp-content/uploads/2020/10/20220729banpakusuponser.pdf


 代理店的な視点で見るとこの万博はこの時点で詰んだ。
本来なら日本国と表裏一体となるべき開催地域の自治体が、この様なワケ分からない地方の会社を持って来た段階で、「オセロの四隅を押さえる金主」である日本を代表する大手スポンサーは完全に引いた。それは代理店にも確認済みである。

 曰く「あんなワケ分からない会社が真ん中に居座っているところに、どうやってトヨタやパナソニックや資生堂を座らせるのよ?無理だよ」と吐き捨てる様に言った。

 そういえば昔、代理店でこんな事があった。人気の通販番組があった。その制作をその代理店でやっていた。金払いも良く、良いクライアントだった。
 しかし正直、その代理店内では小バカにしていた。「地方の金持ちがやっているちょっと小金を持った会社」程度の認識だった。
 それには非常に反感を感じた。しかし経済界は出来上がったヒエラルキーが確立された世界である事は事実だ。

 当時、中国のプロジェクトを始めたばかりだった。そこで言われる事は「パナソニックに支援してほしい」「ブリヂストンは来てくれないか?」「トヨタはいつ中国に来る?」だった。

 その辺り航空会社が明確で、ナショナルフラッグキャリアと呼ぶが、やはり「ナショナルフラッグカンパニー」は認識として明確にある。国際イベントでは殊更、それは強調するべきポイントだ。

 大阪はこの事に気がついていない節があるが、このナニワフラッグシップかどうかは知らないが、これらの企業を全面に持ってきたり、ワケ分からない御仁を総合プロデューサーとして立てた段階で、この万博のステイタスは地に落ちた。少なくとも国を代表する企業は「そこには一緒に立てない」と言う小言を言い始めた。

 そして開催国と開催地の自治体は、母家と軒先と言う表裏一体の関係である。この認識をすっ飛ばしては、このイベントは絶対に成功しない。

オセロでも手詰まりはある。その上で最後の一枚を置いたら負ける。

 押さえる順番を間違えた故に、その先はどうやっても建て付けがうまくいかない。真ん中の背骨を確立する前に小手先を懸命に組み上げた。サイエンスがそうだろうし、空飛ぶ自動車もそうであろう。そしてEVバスも然りだ。それらは枝葉だ。枝葉を先にやって、結局背骨は立たなかった。これらの企業が背伸びしても開催に必要なタネ銭は出せない。これが現実。

 つまり今回の万博の失敗は「お手付き」である、と言う事。ちょっと高いお手付きになっちゃいましたよね。

 「有る・有る・有るのアル!」は「オセロの四隅」であると同時に最初の「有る・有る・有る」は三点で支える三角のステージ、そして最後の「アル」はその上に立つエンターテイナーだ。その三点のステージを支える一点が倒れたらどうなる? これはそう言う話しです。

苺農家じゃ分からねーって!そう言うのは!


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