珠海サーキット問題を中心に改めて中国と維新の問題を考える


 
このポストを読んですぐにスッと「なるほど、そう言うことか!」と分かる方はそう多くは無いでしょう。
   

 従ってこの件を題材にその背景がどうなっているのか?を説明します。
まず多くの方が知っている事として、中国の土地は国のモノと言う事をいま一度思い起こしてください。

 つまりどの建物、どの街のエリアであっても、そこにある全ての地面は国のモノなのです。

 そこで「国」と「地方」はどうなっているのか?と言う事を説明します。分かり易くかなり省略して説明しますが、「国」はこの土地の管理を「地方」に委託し、預かり仰た「地方」は例えば不動産デベロッパー等にこれらの土地を貸します(大体の場合は五十年)。

 「地方」は貸出先のデベロッパー等から賃料を得て「国」へ上納するわけです。

 中国は明らかに不動産バブルが崩壊しているにも関わらず、地方政府は不動産開発を後押しするのか?のカラクリのひとつはここにあるのです。
 不動産デベロッパーにまとめた土地を貸して、纏まったカネを受け取る方が、地方政府にとって「手取り早い」のです。

 一方の不動産デベロッパーは先が見えているのに、どうして不動産開発をするのか?
「頭金」と言う大きなカネを受け取れて、比較的集金しやすい業種だ(った)からです。

 しかしひとたび不動産と言うモノに対し、疑いを持ち始めた群集心理は瞬く間に拡がりました。そして恒大等の問題が明るみに出るにつけ、その「疑い」は「確信」に変わり、財布の紐は益々固くなります。
作った物件の六割が売れないと原価をペイできないのに、三割しか売れなかった。
その結果、デベロッパーの破綻が相次ぐ訳です。


これがその典型的なケースの映像なのです。

 クルマの両輪だった「デベロッパー」と「家を求める人」は、どちらともなく留め具が外れ、その車輪は外れてしまったのです。

 それでも…ここはもうアタマの良し悪しや、教育の問題になるのですが、「今は安くなったから、いま買うのは将来儲かる」とか「いま売れ残ってるのは場所が悪かったからだ!我が社の企画はそれとは違う!だから売れ残る訳は無い!」と考えるオメデタイ方々は一定数いる訳です。
 日本で地震が起きるたびに「人工地震だ!」と言っている方々と同じです。元々が官製値上げですから、もうそれに群衆がついて来なくなったら、砂上の楼閣でしか無い訳です。

 売れ残ったサンマ一匹高く掲げて「素晴らしい漁師が持っている技術の全てを注ぎ込んで釣り上げたサンマだよ!1万円で買ってくれ!転売したら2万円だ!」と言っていたとしましょう。
あなたは買いますか?

 今までは政府の値上げ計画で「いま買ったら1万円だが、今後は値上げをする。今年の秋になったら2万円になる。だから早く買った方が良い!」と吹き込んで消費を煽っていた訳です。モノの価値や値段を官製で上げていて、共産教育、つまり「自分の頭で考えない」「お上の言う通りにする」事をインプリンティングされてる国民ですから、全ての人が一定の方向に動くように仕立て上げられている訳です。

 こうして本来は精々が一万円だったモノを人工的に十万円に膨らまし、その間で売買し、一部のひとは利益を得た者もおりますが、最後まで掴んでいた人は大損すると言う、まさにババ抜き経済だった訳です。
 またこの根拠の無い値上げを根拠に、次のカネを用意できる経済構造。これを私はレバレッジ経済と呼んでおりました。

 さて今回の珠海サーキット問題はどう言う事なのでしょうか?
これは中国アルアルなのですが、先に結論を言うと「珠海サーキットより高い賃金でそこの土地を借りる会社が出てきた」と見るのが正解です。

 しかしこの場所には珠海サーキットや、その隣のレイクウッドゴルフクラブがもう何十年と営業をしております。


 こう言う時に便利なのが「三権分立」が機能していない政治・行政を持つ国なのです。
 
【司法・立法・行政】

 この三つがバランス良く成立していると言う事がどれだけ素晴らしい事か?を、これからの説明で身に染みて理解できると思います。

 もし三権分立が成り立っているのでしたら、珠海サーキットはこれからも契約期間内は営業できたでしょう。もし途中で契約を一法的に打ち切られそうになったら、司法の場に訴え出れば良いのです。

 しかし三権分立が成立していない国はどう言う構造になっているのか、知っていますか?

 【行政】が先に立つのです。【行政】が司法や立法より先に支配する。これが中国です。

 今回の珠海サーキットでは、これがどの様に当てはまるのか?を説明します。

 上記のリンク先のblogにある様に市政府から突然通達が出た訳です。
「昼間、70dB以上の音を出すな!」と言う行政命令です。

 洗濯機やトイレの水を流す音が大体60dBだと言います。


 このサイトの資料によると70dBとは
  • 70dB(うるさい) 騒々しい事務所の中、騒々しい街頭、セミの鳴き声(2m)
との事。


 レーシングカーでは無い一般の自動車の排気音で、車検を通す際は一般的なフロントエンジン車で91dBですから、レーシングカーで70dBは不可能です。

 これではサーキットとして経営が出来なくなります。しかし契約した賃料は払わなければなりません。つまりその先に待っているのは経営の破綻です。

 結果的に珠海市は合法的にサーキットを退ける事ができるのです。行政で規制を掛けて商売を出来なくし、商売ができなくなったサーキットは所定の賃料を払えなくなる。早晩、サーキットは経営を断念する日が来るでしょう。

 訴訟を起こそうにも行政が司法を支配していますから、勝てません。裁判で強力な弁護士の布陣を敷いて臨んだら、また何らかの行政上の網を掛けられて関係者や弁護士は投獄されるでしょう。

 この様に議会が無く、行政が一部の意思で勝手に動かせると言う事は恐ろしい事なのです。これが中国の政治であり、日本では維新の会がそれを目指しています。だから議会を乗っ取るのです。
議論なんて面倒ですから。
 維新のアドバイザーの上山信一は中国に憧れていますから、共産党のある意味、単純かつ強権な政治・行政手法こそ最高だと思っています。

 よくジャーナリストや評論家が「中国は人治国家だ!」と言います。しかし中国はそれを否定します。この点に於いては日本のジャーナリストの負けです。中国はそこで言葉の盾を持っているのです。
 「我々は独裁国家では無い」と言います。この時点で日本のジャーナリストは負けているのです。
 どう言う事か?
中国は「行政で動かせてしまう国」なのです。つまり行政で、小さい単位で地方政府が勝手に変えられますから、彼らにしてみたら「独裁者が勝手に法を作ってる」と言うのは言いがかりなのです。日本のジャーナリストや評論家ももう少し、言葉の理論武装をしてください。

 「あなた達の行政は議会で揉んだものではありませんよね?」この一言が足りないのです。行政命令で出してきますから、彼らは「これは守るべきルールだ」と言い張ります。



 いま7本近い仕事を抱えていて、毎日12時間仕事をしても追いつかない状態です。世界的なスポーツブランドとのコラボ企画を持ちかけられて、その資料つくりで寝る時間がない状態です。
しかし昨日、一本UPし、ようやくお見せできる様になりました。

 昨夜は3時に寝て、5時に起き、これを書いております。書くことで一人でも多くの人が理解できれば、と思います。なぜダメなのか?なぜ問題なのか?
気分で反対。
気に入らないから反対ではなく、どう言う理由でそれが起きているのか?をキチンと見分けないとダメです。

 珠海サーキットの一つの出来事を通し、背景も含め、こう言う風になっている、と言う事が根底から理解できる人がひとりでも生まれれば幸いです。


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